神戸の元町、ポートタワーの見える事務所で
弁護士をしています、古谷(ふるたに)です。
トラブルの発生を予防して、
安心して、事業・生活が送れるよう
サポートしています。
暑い夏に飲む冷たいビールは、最高ですね。
私もお酒が好きですので、
その気持ちはよく分かります。
ただ、最近、
飲酒運転のニュースを
目にすることが増えた気がします。
以前から、飲酒運転は
厳しく取り締まられ、
社会的にも、
絶対にしてはいけないと
浸透してきたはずです。
それでも、なくならない。
少し気の緩みが出ていないか、
心配になります。
万が一、社員さんが休日や勤務後に、
私生活で飲酒運転をした場合、
会社はどうすればよいでしょうか。
経営者としては、
「飲酒運転なんて絶対に許せない」
「すぐに解雇だ」
と言いたくなるかもしれません。
私も、個人としての思いを言えば、
そう言いそうです。
ただ、実際に解雇し、
社員さんから解雇は無効だと争われた場合、
必ず会社が勝てるとは限りません。
飲酒運転が悪いことと、
会社がその人を解雇できることは、
別の問題だからです。
私生活上の行為は、
原則として、
会社の仕事とは切り離されています。
そのため、懲戒処分をするには、
就業規則に根拠があることに加え、
その行為が会社の信用や秩序に
どれほど影響したかが問題になります。
解雇が認められやすい方向に働くのは、
まず、会社の業種や
本人の職種です。
たとえば、運送会社やタクシー会社。
日常的に車を扱い、
交通安全を強く求められる会社です。
その会社の運転手が飲酒運転をすれば、
会社の社会的信用に直接影響しやすくなります。
過去の裁判例でも、
大手運送会社のドライバーについて、
私生活上の酒気帯び運転を理由とする
懲戒解雇が有効とされた例があります。
官公庁や金融機関、報道機関など、
社会的な信用や高い規律を
特に求められる職場でも、
厳しい処分が認められやすい方向に
働くことがあります。
ただ、ここは少し
違和感もあります。
飲酒運転をしても、
低い倫理観でよい会社など
あるのでしょうか。
もちろん、どの会社の社員でも、
飲酒運転は駄目です。
ただ、裁判で問題になるのは、
その行為が会社との関係で、
解雇という最も重い処分に
値するかどうかです。
業種や職種以外では、
行為の悪質性も重要です。
人身事故を起こした。
検問から逃げようとした。
大量に飲酒していた。
以前にも同じ違反があった。
会社に事実を隠し、虚偽の報告をした。
こうした悪質性の高い事情があれば、
厳しい処分を認める方向に働きます。
逆に、事故は起きておらず、
検問で発覚しただけだった。
本人がすぐに会社へ報告した。
会社名や職種も報道されていない。
会社の信用への影響も具体的には出ていない。
そのような場合、
いきなり懲戒解雇では
重すぎると判断される
可能性があります。
では、経営者は最初に
何をすべきでしょうか。
まず、怒りのまま
解雇を言い渡さないことです。
事実を確認する。
本人から事情を聞く。
警察の処分や事故の有無を確認する。
就業規則を確認する。
会社への影響を具体的に整理する。
そのうえで、
注意、けん責、減給、
出勤停止、降格、解雇など、
どの処分が相当なのかを検討します。
飲酒運転は、決して軽い問題ではありません。
だからこそ、会社も感情だけでなく、
正しい手順で対応する必要があります。
また、問題が起きてから
処分を考えるだけではなく、
普段から社内研修を行う。
飲酒運転禁止を就業規則に明記する。
懲戒の基準をある程度共有する。
翌朝の運転も含めて、注意を促す。
そうした予防も大切です。
飲んだら乗らない。
乗るなら飲まない。
そこに例外はありません。
一方、会社の処分については、
許せないから即解雇、
とは簡単にいきません。
厳しく対応することと、
手順を守ること。
その両方が、会社を守るために
必要ですね。

