神戸の元町、ポートタワーの見える事務所で
弁護士をしています、古谷(ふるたに)です。
トラブルの発生を予防して、
安心して、事業・生活が送れるよう
サポートしています。
介護疲れによる悲しい事件のニュース、
定期的に目にします。
30年以上妻を介護していた夫が、
妻を殺害した疑いで逮捕された、
最近では、そんなニュースもありました。

専門家からは、男性介護者には
一人で抱え込む傾向がある、
という指摘も紹介されていました。
事件の背景は簡単に
語れるものではありません。
介護の負担、孤独、
お金の問題、家族の関係。
いろいろなものが
長い時間をかけて
積み重なったのだと思います。
ただ、このニュースを見て
感じたのは、近い関係ほど、
境界線を引くのが難しい、
ということです。
家族だから。
夫婦だから。
親子だから。
そう思うと、
頼りたいのに頼れない。
つらいのにつらいと言えない。
相手のために頑張っているうちに、
自分の限界が見えなくなる。
これは、中小企業でも
似たことがあります。
創業メンバーだから。
親族だから。
昔からの仲間だから。
そういう理由で、
雇用契約書をきちんと作らない。
役割分担をあいまいにする。
給料や報酬も、なんとなくで進めてしまう。
最初は、それでもうまくいきます。
関係が良いから。
気持ちが通じているから。
お互いに良かれと思って
動いているからです。
でも、関係がこじれたとき、
その「あいまいさ」が
一気に問題になります。
どこまでが仕事だったのか。
報酬はいくらの約束だったのか。
残業代はどうするのか。
退職するときに、何を返すのか。
顧客情報やノウハウを、
どこまで使ってよいのか。
最初に決めていないことが、
後から大きな争いになります。
外部の取引先でも同じです。
仲が良いから、契約書はいらない。
いつも助けてもらっているから、
契約書にないこともやってあげる。
良かれと思って、追加作業を
無償で引き受ける。
そういう関係は、一見あたたかい。
でも、限界を超えると、
急に苦しくなります。
関係を長く続けるためには
境界線が必要なのかもしれません。
ここまでは引き受ける。
ここから先は別料金。
この場合は終了できる。
困ったときは誰に相談する。
そういう線を先に引いておくことで、
お互いが無理をしすぎずに済みます。
介護でも、会社でも、
「近い関係だから大丈夫」
とは限りません。
むしろ、近い関係だからこそ、
言いにくいことが増えます。
だからこそ、元気なうちに。
関係が良いうちに。
冷静に話せるうちに。
境界線を決めておくことが大切です。
家族の問題も、会社の問題も、
一人で抱え込むと追い詰められます。
早めに外部の目を入れる。
専門家に相談する。
言葉にして、形に残す。
それは、冷たいことではなく、
関係を守るための準備です。

